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以前にECサイトの相談を受けたときにですね、「リニューアルしたら売上が下がってしまった。なぜだろう?」と言われて、そりゃあなた、売れない理由がぱっと見てわかったら誰でも簡単に物が売れてしまいますよという話なのですが、ただ、ぱっと見て分かることもあるんですよね。(それがボトルネックになっているのかどうかはわからずとも、良い事か悪いことかはわかりますよね)

で、サイトのTOPを見て、リニューアル前のを見ずとも「ああ、これは売れないですよねー」というと、驚く担当者さんw 「ええ?まだここしか見てないのにわかるんですか?!」とか言われてw それぐらいわからないとWeb屋とは言えないし、逆に言うとすれぐらいひどいですよーってことなんですけどね。これ、一体誰がデザインしたんだと問いつめたいですが、しかし当然その方はお金を払ってデザインしてもらってOKを出してるわけですから、そもそもそこに問題があるわけですけども。

一目見て何がわかったかというとですね。
ページ全体でグラフィックデザインになってしまってるんですよね
ちゃんと設計してないWebサイトだと思いっきりよくある話ですけども。
きれいなんですよ。サイトとしては。女性向けの商品を扱っているだけあって、凄く綺麗。美しい。でも、見づらい。何が言いたいんだか良くわからない

もっと具体的に言うと、画面内がバナーだらけ
そして、バナーも何が言いたいのかわからない、綺麗なだけ。
とてもビジュアル的には綺麗なバナーなんですけど、後ろの写真と文字がかぶっちゃって、文字が見えづらい。いや、普通に文字は読み取れますよ。でも、”読み取らなきゃ”いけないんですよね。これデザインした人、心底Webサイトを何のために創るのかわかってないなーと思いました。

■クリック率の高いバナーとか
他方で、「美麗なバナーより画質が荒い・汚い・コテコテなバナーの方がクリック率が高い!」という定説めいた?話もよく聞きますね。実際そうだろうなぁと思いますし、それってでもどうなの?とも思います。

はたまた、こういうコラムもありますね。
『【売れるネット広告】今すぐ広告原稿のクリック率を上げるには?』
http://markezine.jp/article/detail/2916
※このコラム自体はとても参考になると思います!

---本文より引用---
 バナーのクリック率を大幅に上げる方法は、ズバリ“動きを無くし”“キャッチコピーをメインにする事”。そして“なるべく出稿している媒体のコンテンツと馴染むバナーをデザインする事”である。下記の通り、バナーを作れば、クリック率は大幅に上がる可能性が高い。

・ 動きを一切つけない
・ キャッチコピーをしっかりと表記する
・ 写真はキレイにレイアウトせずに、単純な四角の写真を貼り付ける
・ 商品パッケージの写真はあえて載せない
・ 架空のクリックボタンを設置し、“詳細”“詳しくはコチラ”などと表記する
・ 色使いを媒体のトーン&マナーに合わせる



なるほどーと思います。
「汚いバナーの方が~」もそう思います。
で、これってつまり、「基本的に文字から情報を得ている」っていうことですよね。
まあ、当たり前なんですよね。人間が最も頻繁に情報をやりとりする最大のツールは言葉なのだし。もちろん写真、画像、外見から受け取るコミュニケーションもあるけれども、基本的には文字の方が的確に情報は伝わると。だから、もうこのバナー一個のデザインでも見えてくるんですが、ただ綺麗なだけのバナーとか、一体何のために創ってるかわかってないよね?って思うんですよね。

僕は、サイト内だろうが広告だろうが、バナーというのはユーザという名のお客様に対する「提案」だと思ってます。提案だから目立たせるわけですし、提案だから画像も含めて見せるわけで、それならば(基本的には)一番見せなければいけないのは文字だと思うんですよね。相手の気付きになり、魅力を掻き立てるものであり、故に価値観にそぐうものでないと。それがわかってないから画像と文字が判別しづらい本末転倒なバナーを作っちゃう。


■でも、もっと上のレイヤーから考えないと
「画質の荒い方がクリック率が高い」という話も、それって現状がそうなだけであって必ずしも正解だとは思っていません。というかそもそも「正解」なんてもの、僕は無いと思っています。いま、そのように画質が荒い、コテコテなバナーのクリック率が高いというのは、もちろん文字をきちんと、一発で判別できるようにしていることもあるでしょうけど、他のバナーと比べて目立つからじゃないかと思います。要するに、他のバナーが基本的に綺麗に創ってあるから目立つわけで、全部が全部コテコテ汚いバナーになったら、それはそれで逆に目立たなくなるわけで。

画質とか文字とか、そういうのは小手先だろうと思うんですよね。
その前に考えることがあるだろうと。盲目的に手法や手段にとらわれてはいけない。
バナーの良し悪しというか、設計というのはバナー単体の話ではなくて、それ以前に画面全体のレイアウトがあるべきでしょうと。極端な話、全部テキストの中に一個バナーがあれば目立つわけですよ。30個の効果的デザインのバナーより、ダメバナーでもたぶん一個しかなければ(そのバナーの内容自体に魅力があれば)クリック率ははるかに高くなると思います。まあ、そりゃ選ぶ必要がないのだから。

要するにバナーデザイン以前にどこに置くのかということのほうがずっと先に考えるべきで、ページ全体のコンテクストの中で、どういう状態のどういう相手に何を受け取ってもらうのかという設計がなければ、バナーデザインもクソも無いと思うんですよ。


■ページデザインの前に・・・
じゃあそのページ全体のレイアウト、デザインはどうやって決めるのかというと、それはもちろんサイト全体のコンテクストなわけで、このページにどこから来てどこへ向かいたいのか、その間で何を提供するのかという設計があるべきなわけですよね。

だから、画面全体がバナーだらけというのがつまりありえないわけですよね。

バナー一つのデザインでも何を伝えたいのか何のためにあるのかというデザインの問題があるわけですけども、そのもう一つ上のレイヤーも結局同じ事で、そのページで何をしてもらいたいのかという設計、コンテクストが無いから、そうなる(バナーだらけ)になるわけですよね。楽天とか・・・。

バナーは提案だと思うと上記ですが、基本的には目立つから意味があるわけです。クライアントと話をしていると良くあるのがあれもこれもと目立たせたいものが出てきて、「どっちが優先ですか?」というと、満面の笑みで「全部!」とか平気で言っちゃうわけですが、それはすでに論理矛盾なんですよね。だって優先順位をつけるから目立つわけで。事業として、サービスとして、キャンペーンとして目立たせたいのはわかるのですが、どうあがいてもPCにせよモバイルにせよ画面という制約がある(いや、むしろ紙面の方がもっと制約有りますけど)。1stビューという最上段があるわけですし、その中でもエリアというものも存在するわけで。その中で全部目立たせようとしたら、それは全部目立たないですよ。

バナーはご提案ですが、そもそもサイト自体がご提案なんですよね。
であるならば、ユーザの興味に従い、自分が得たい体験を自分で選択できるように配慮すべきだし、それはつまり相手に合わせてコンテンツを提供することなわけですが、だったら主役と助演と脇役はきちんと分けてあげないとわからない。普通の1時間ドラマで主演に織田裕二が出てるのに、助演にキムタクだけならまだしも、喫茶店の奥で喋ってるだけの人にオダギリジョーを使って、喫茶店の外を通り過ぎるだけの超エキストラに妻夫木聡を使うと、視聴者は迷いますよね。どこを見て良いかわからないんですよ。もしくは「オダギリジョーが小さく映ったということは、話の中で大きな役割を?!」と思うのが普通だと思います。スペシャルドラマのように本当にそうならいいんですが、1時間ドラマでそれやっちゃうと、まあ当たり前に何の意味もないわけで、それでは視聴者は気が散ってドラマが楽しめない。ゆえに、「主役はこの人ですよ」「助演はこの人ですよ」「ライバルはこの人ですよ」「この人はただの景色ですよ」ということをきちんと伝えなければ、相手の体験にならないわけですよね。


■優先順位しか基本的にはないので
画面という制約がある以上、その中でやるしかないわけですよね。ドラマもそうであるように。どこに注目して欲しくて、どこに目線を動かしてくれればユーザの満足体験に繋がるのかということを設計するわけですが、それっていうのは、結局画面の中でエリアを切って優先順位をつけるしかない。全部!なんてアホなこと言ってる場合じゃなくて、どれぐらいの数を1画面に収めるのか、どれくらい優先度の差をつけるのか(似たような優先度ばかりだとユーザを迷わせるリスクは高くなる)、そういうことをまず設計しなければいけない。

で、それは何を根拠に決めるかって、ビジネス側の話なんですよね。
いくつのバナー、提案があるのかというのはそれはバナーがどうのという話ではなく、ビジネスとして、サービスとしていつ、誰に、どれぐらいの規模で、どれぐらいの期間で行うのかということが本来先にあるべきで、つまりこれを逆から攻めると「全部!」と言ってる時点でビジネスのプランニングがまるでできていないという何よりの証拠なんですよね。年間を通して、いつどんなキャンペーンを打つのか、通年で常にアピールできる商材、サービスはなんなのか、どれくらいの頻度でそれを変更していくのかという、Webサイト以前の話が先にあるべきだと思うんですよ。

結局、バナーデザイン一つとっても、Webサイト全体の戦略が無いと話にならないし、Web戦略はビジネス戦略の下にぶら下がるものなわけで、そこが無いと何も決まらない。WebサイトのTOPページデザイン以前に、まずビジネスをデザインしないと。どんなサービスを誰に届けるのかということ無しに、バナーデザインなんかできるわけがないのですよね。


■だから誰でもそこをコミットしろということではなく

どんなバナーデザイン?
 ▼
そのバナーの先のコンテンツは何?魅力は?
 ▼
それをどうやってユーザはみる?
 ▼
どんなページのどこに貼られる?
 ▼
そのページの中でこのバナーはどんな役割をするの?
 ▼
そもそもそのページで伝えたい事は何?
 ▼
そのページはサイトの中でどんな役割なの?
 ▼
そのサイトはビジネスの中でどんな役割なの?
 ▼
そのビジネスは誰に何を提供する、世の中でどんな役割なの?

ということを考えるべきという話ですが、じゃあクライアントに誰でもかんでもここまで交渉しろということではないんですよ。っていうかできないし。立場ってものがあるから。でも、バナーを創るときにこういうことを想像することは誰でも可能だと思うんです。それを、デザインする手前で想像するだけでも、アウトプットされるデザインは絶対違うものになると思うし、だからこそそのバナーの先のコンテンツの魅力、サービスの魅力を深く理解しなければいけないはずなんです。このサービスは一体何が優れていて、どんな体験ができて、それを求める人はどんな文脈、価値観でその情報を探しているのかということを考えないと、想像しないとできるわけがない。

そして、営業さんは、ディレクターは、仮にバナー一個のデザインだろうとクライアント担当者にできるかぎり、そこまでヒアリングして、相手が考えてないのならそこである程度一緒に考えるぐらいのスタンスは、誰でも持っているべきでは?と思います。

なぜなら、僕らは見栄えの良いだけのハリボテをつくっているんじゃないんだから。
興味を持ってもらって、クリックしてもらって、その先にあるコンテンツを楽しんでもらう、体験の一助となる道の一部を作っているんだから。
2010.12.16 Thu l プランニング・デザイン l コメント (0) トラックバック (0) l top

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